2022東北ブロック 雪山救助搬出技術研修会 報告書

実施日:2022年3月6日
場所:泉ヶ岳駐車場周辺
報告者:宮城県勤労者山岳連盟 遭難対策部
1 実践内容
その1 搬出方法あれこれ
その2 支点構築あれこれ
その3 引き揚げ引き下ろしあれこれ
その4 安全確保あれこれ
2 実践の様子
その1 搬出方法あれこれ
スキーを使っての搬出方法を検討した。スキーを担架に改造できるシャベルとスキーシールを
使った方法をそれぞれ行った。シャベルを使った方法は,シャベルをスキーに固定する方法が
はっきりせず,試行錯誤しながら行ったが疑問が残った。スキーシールを使った方法は,予想
以上に簡単に担架の形を作ることができた。
しかし,両方に共通する問題として,要救助者を快適にスキー担架に乗せること,抵抗なく
引きずるためのロープの結び方があった。
その2 支点構築あれこれ
立木を使った支点構築。これは,沢搬出救助訓練でも使う方法であるが,木の摩擦力を利用したもので一番確実で安心できる方法である。しかし,雪山ではいつも木々があるわけでもない。そこで,ピッケル,土嚢を実践してみる。設置が一番早いのがピッケル,次に土嚢(雪を詰める)。それぞれメリットデメリットがあることを理解した上で使ってほしい。力がどの向きに作用するのかを見極めることが重要である。土嚢は袋がなければできないが,軽量コンパクトなので,ザックの一番下に入れておいても問題ない。他にも方法があるが,熟練が必要である。とにかく現地の状況に合わせて選択してほしい。
その3 引き揚げ引き下ろしあれこれ
シンプルな1/3システムが基本となるが,ロープの折り返し地点をカラビナにすると,かなりの抵抗が生まれ,力としては1/3にはならない。力の働く向きも考えて,さらに安全機能も備えて安心安全を心がけることが大切である。
その4 安全確保あれこれ
コンティニュアスを安全に行うための方法として,二人で繋がっている場合,二人とも手元にロープを巻いて手に持つ。そしていざという時に,その輪を投げてピッケルを地面に刺して確保する方法である。両方で巻いているので,それで時間稼ぎができ,止めるチャンスが広がる。でも,できることなら,スタカットで行いたいとの意見が多かった。きちんと現場での状況を判断し,リスクマネジメントする中で,何を行うべきかを考えてほしいし,雪山での確保技術ができるようになってから雪山に入るべきとの意見があった。
Gallery
- ツエルト梱包による搬出
- スキーシールを使った方法
- 担架を作る機能のあるシャベルを使った方法
- 立ち木にロープを巻き付けて,摩擦力を利用した支点構築&確保の方法 ・巻きつけ角度によって摩擦力を調整できる
- シンプル1/3システム
- 肩がらみでの確保の実際 ・やはり身体的にかなりきつい。 要救助者との体格差も関係するの で,留意が必要。
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